鮮魚の宇佐美さん②ー1

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鮮魚の宇佐美さん②ー1

「魚屋を呼べ」  月曜のお昼前。私は商品発注の締め時間と闘っていた。いつもは余裕をもっての作業なのだが、今日に限って詰まってしまった。  そんな時には足止めをくらうもの。 「はい、なんでしょうかー」  マスクのかからない目元笑顔で振り向くと、そこには介護職さんが立っていた。今日はショッピングカートもメモも持っていない。服装からして休日のようだ。代わりに持っているのは何やら開封済みのパックをひとつ。(かわす)と分かってはいたが用件を聞かないわけにはいかない。 「ご用件を伺います」 「魚屋を呼べって!」  私は追求もせず「少々お待ちくださいませ」を伝え、小走りした。鮮魚バックヤードの扉を開けると、宇佐美さんはお昼に入るべく片付けをしていた。 「なんだぁ? あのオヤジ何言いに来た!」  宇佐美さんは、重そうな防水前掛けを外し、姿勢良く休日の介護職さんへと歩を進める。  とりあえず現段階まで拾った発注分は、発注機端末機から送信しておこう。
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