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「2回目の爆破の狙いは何?」
「2回目じゃない、爆破はあれが最初だ」
「ごめんなさい、そうだったわね」
(冷静なようね)
確かめた紗夜。
「夢川の居場所を教える代わりに、頼まれただけだ」
「だけだと?25人が死んだんだぞ、わかってんのか❗️」
「知るかよ!俺はガソリンタンクを梱包して、指示された貸倉庫へ入れ、そこにあった爆弾を受け取った。あとはあの引っ越しトラックを待って、指示通り付けただけだ!あんな大爆発をするわけがない!」
「確かに、トラックに付けたのは小型のプラスチック爆弾だ。それに、ヤツの言う通りなら、大爆発にはならねぇ。推測だが…トラックの荷台には、ガソリンが満載だった筈だ」
豊川の推測にまず間違いはない。
会話は全て耳の通信機で繋がっている
「あなたの行った後に、積荷を追加されたのね。それで、あなたは夢川があのビルの8階に居ると…また騙されたわけね」
「クソッ❗️あの女め、優しそうな話し方で騙しやがって!」
(これは…)
長平の心に蘇った優しい声。
それは、見ていた昴にも聞こえた。
「咲さん、長平に指示を出していたのは、双葉麻耶ではなく、別の女性です。恐らくあのS.M.」
「やはり、そいつが首謀者で間違いなしね」
「長平さん…あなたが爆弾を仕掛けたのは、8階?」
「当たり前だろう、夢川がいるのは8階だ!」
「確かに、倒れたビルの8階に、遠隔操作付きのプラスチック爆弾があったが…信管が無かった。もとより、夢川は病院だったしな。気の毒なヤツだ。完全に騙されてやがる」
「だから、あんな大爆発するわけがない❗️」
「可哀想に、長平さん。あなたは大量殺人の道具に使われたのね」
「クッソー❗️あの女、ぶっ殺してやる…捕まってさえなけりゃ。…だいたい、何なんだあのヤクザは⁉️アイツらさえいなけりゃ楽勝で逃げ切れたんだ。警察とヤクザがグルっておかしいだろ❗️」
「あっちゃ〜💦そこにくるのね💧」
「な…何だ咲、その目は💦」
「たとえ逃げてても、長平さん、あなたは彼女が誰か知らないんでしょ。代わりに別の女性が、夢川翔を殺害したわ。終わりね」
言い終えて歯を噛み締める紗夜。
これ以上、彼から得られるものはない。
(いや、もしかしたら…)
慌てて部屋を出る紗夜。
直ぐ隣の部屋へ入る。
「豊川さん、信管がなくても爆弾は慎重に扱うわよね?」
「当然だ」
「じゃあ、その爆弾の指紋は?」
慎重な作業に、手袋はまずしない。
「もちろん採取したが、犯罪者に該当者はいなかった」
「犯人は今までは犯罪者じゃなくて被害者よ。今回の一連の事件で、該当する女性が1人います❗️」
「紗夜さん、あんたが言ってるのは、夢川に、車の屋根を踏みつけられた…」
「松川里美ね。イニシャルは、S.M.だわ!」
記憶力の良い土屋である。
「長平の心から聞こえた声、どこかで聞いた感じがしてたの。確か、最初の事故の慰霊碑の前で会った時…『いつも奇跡的に自分だけ生き延びて…』と言ってたけど」
「まさか、5年前の航空機事故か⁉️」
その時、紗夜と一緒にいた豊川。
「彼女は事情聴取したはずだから、どこかに指紋が残っているはず!豊川さん❗️」
「分かった必ず見つけてやる!」
「昴さん、聴取の録音を取調べ室に流して❗️」
「はい、直ぐに!」
淳一が、長平を慰めて出ようとした時。
「何だ?」
松川里美の声が流れ始めた。
瞬間に反応する長平。
「刑事さん…コイツです。間違いない、コイツがあの女です❗️」
程なくして、指紋も採取され、爆弾のものと一致したのであった。
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