【3】Grudge 〜怨〜

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「2回目の爆破の狙いは何?」 「2回目じゃない、爆破はあれが最初だ」 「ごめんなさい、そうだったわね」 (冷静なようね) 確かめた紗夜。 「夢川の居場所を教える代わりに、頼まれただけだ」 「だけだと?25人が死んだんだぞ、わかってんのか❗️」 「知るかよ!俺はガソリンタンクを梱包して、指示された貸倉庫へ入れ、そこにあった爆弾を受け取った。あとはあの引っ越しトラックを待って、指示通り付けただけだ!あんな大爆発をするわけがない!」 「確かに、トラックに付けたのは小型のプラスチック爆弾だ。それに、ヤツの言う通りなら、大爆発にはならねぇ。推測だが…トラックの荷台には、ガソリンが満載だった筈だ」 豊川の推測にまず間違いはない。 会話は全て耳の通信機で繋がっている 「あなたの行った後に、積荷を追加されたのね。それで、あなたは夢川があのビルの8階に居ると…また騙されたわけね」 「クソッ❗️あの女め、優しそうな話し方で騙しやがって!」 (これは…) 長平の心に蘇った優しい声。 それは、見ていた昴にも。 「咲さん、長平に指示を出していたのは、双葉麻耶ではなく、別の女性です。恐らくあのS.M.」 「やはり、そいつが首謀者で間違いなしね」 「長平さん…あなたが爆弾を仕掛けたのは、8階?」 「当たり前だろう、夢川がいるのは8階だ!」 「確かに、倒れたビルの8階に、遠隔操作付きのプラスチック爆弾があったが…信管が無かった。もとより、夢川は病院だったしな。気の毒なヤツだ。完全に騙されてやがる」 「だから、あんな大爆発するわけがない❗️」 「可哀想に、長平さん。あなたは大量殺人の道具に使われたのね」 「クッソー❗️あの女、ぶっ殺してやる…捕まってさえなけりゃ。…だいたい、何なんだあのヤクザは⁉️アイツらさえいなけりゃ楽勝で逃げ切れたんだ。警察とヤクザがグルっておかしいだろ❗️」 「あっちゃ〜💦そこにくるのね💧」 「な…何だ咲、その目は💦」 「たとえ逃げてても、長平さん、あなたは彼女が誰か知らないんでしょ。代わりに別の女性が、夢川翔を殺害したわ。終わりね」 言い終えて歯を噛み締める紗夜。 これ以上、彼から得られるものはない。 (いや、もしかしたら…) 慌てて部屋を出る紗夜。 直ぐ隣の部屋へ入る。 「豊川さん、信管がなくても爆弾は慎重に扱うわよね?」 「当然だ」 「じゃあ、その爆弾の指紋は?」 慎重な作業に、手袋はまずしない。 「もちろん採取したが、犯罪者に該当者はいなかった」 「犯人は今までは犯罪者じゃなくて被害者よ。今回の一連の事件で、該当する女性が1人います❗️」 「紗夜さん、あんたが言ってるのは、夢川に、車の屋根を踏みつけられた…」 「松川里美ね。イニシャルは、S.M.だわ!」 記憶力の良い土屋である。 「長平の心から聞こえた声、どこかで聞いた感じがしてたの。確か、最初の事故の慰霊碑の前で会った時…『いつも奇跡的に自分だけ生き延びて…』と言ってたけど」 「まさか、5年前の航空機事故か⁉️」 その時、紗夜と一緒にいた豊川。 「彼女は事情聴取したはずだから、どこかに指紋が残っているはず!豊川さん❗️」 「分かった必ず見つけてやる!」 「昴さん、聴取の録音を取調べ室に流して❗️」 「はい、直ぐに!」 淳一が、長平を慰めて出ようとした時。 「何だ?」 松川里美の声が流れ始めた。 瞬間に反応する長平。 「刑事さん…コイツです。間違いない、コイツがあの女です❗️」 程なくして、指紋も採取され、爆弾のものと一致したのであった。
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