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衝撃の記者会見が終わった。
それぞれが、何が真実で、何が謎かを理解しようとしている。
「じゃあまず土門、引越し業者から何か分かったことは?」
「こんなことになってる時に、すみません。引っ越し業者ですが、インターネットで請け負う運び屋で、指定された場所から場所へ運ぶ途中でした」
「てことは、依頼者とのコンタクトは一切なしってわけか。中身が死体でも運んじまう世の中とはね、全く」
「自分も淳一さんに同感です。荷受け先はセルフの貸し倉庫で、借り主は不明。送付先は…ここでした」
「何?ふざけやがって❗️」
「もとより、届けるつもりはなかったはず。こうして我々が調べて、それを知らせるための小細工ね」
「ここの存在を、意識しているってことだ」
豊川が降りて来た。
「2回目と3回目に使われたのは、軍が使う特殊な爆弾で、定めた方向にナパーム弾並の爆炎を放出する最新式だ」
写真をテーブルに乗せる。
「この写真…押収品なの?」
「ああ、去年中国マフィアが潰れた時に、本庁が押収したものだ」
「双葉麻耶、28才 。本庁情報システム部。ロックダウン寸前に逃走し、捜索中です」
昴がモニターに映し、各タブレットに送る。
「内通者だけじゃなく、武器の持ち出しもやっていたとは、素性を良く調べて」
「あの…普通警視庁の方なら、素性ぐらい知ってるんじゃないですか?」
月島風花の素朴な質問。
ない…とは言えない。
昴に視線が集まる。
「も、もちろん調べてますよ。親は2人ともJAXAの研究員でしたが、8年前に交通事故で亡くなってます。事故に怪しい点はありません。深夜の高速で居眠り運転とのこと」
「お兄さんがいま…したね」
何かが気になっている紗夜。
「はい、自殺となってます。それ以上のことは、プライベートなので、記録にはありません」
「かなり頭が良くて、冷静。秘密にしたいことは、一つも漏らさない。昴さん、この写真は入った時の?」
「いえ、3年前に科捜研から、希望により転任した時のものです」
「この笑みは…本物じゃない」
「紗夜、そりゃ無理にでも笑顔作るだろう」
「普通はね。左脳が働いた右頬だけの笑みは、笑顔じゃない…企みから現れる勝利の笑みよ」
「紗夜、お前まさか?」
「富士本さん、咲さん、主犯は彼女です。私は彼女に会った。双葉麻耶は、彼女のイメージと一致します❗️」
「航空機事故の乗客に、彼女の兄が?」
「土屋さん、乗客名簿はこの前調べてみました。彼女とは関係ないと思います」
「昴、すごいじゃない。でも、彼氏とかは?あるんじゃない?」
「かなり年配が多くて、可能性は薄いです」
「そうよね〜ユナイテッド航空は、リッチなイメージあるもんね」
「でも咲さん、一つ気になっているんですが…1人だけ奇跡の生存者がいますよね、富士本さん?」
「あ、ああ。1人だけな。ただ、古い航空機事故もそうだが、そういう生存者の詳細は明かされないんだよ」
「そうですよね…」
「落ち込むな昴さん。生存者には、事故の裏事情はわかんねぇぜ。それより、当時、管制塔にいたヤツの方が詳しいんじゃねぇか?」
「神、たまには頭使うじゃない❣️昴当時の管制官を調べて、分かったら土門と戸澤で聞き取りに!」
「それに、彼女が言ったのは、乗客以外の被害者だ。兄がもし管制官だとしたら…繋がるな」
戸澤が一区切り作った。
「そろそろいいかな」
風花が、メモリーを昴に渡す。
「霞さんから預かった裏情報です」
モニターに映す。
「何この陰気なイメージ」
「霞さんの話では、5年前の事故の被害者の履歴が何人か読み取れたけど、3年前にこれに更新されてて、会員制の闇サイトで、事件前後にログが動いてるらしいの。ただ、アイさんでもパスワードが分からなくて。下手に間違うと多分二度と入れないって」
「ヤツらが単独犯ではなく、主犯は5年前の墜落事故に関係した怨みまでは、分かった。コイツは、霞さん達に任せ…」
「ちょっと待って…」
遮って、電話を掛ける紗夜。
「もしもしラブさん、紗夜です」
「どうしたのこんな夜中に?あっ、日本は違うか💦」
「闇サイトなんですけど、アイさんが解けないパスワード…ってあります?」
「ないわ❗️」
(早っ💦)
「ないって…本当に?」
「それが聞きたくて電話したんでしょ?アイに解けないパスワードは、ナシよ」
「そういうことね❗️」
それを聞いて、躊躇わずに、エンターを押した風花。
「ちょっと❗️まだ何も…えっ?」
「もういいかな、これからダイブして、ジェット機ぶっ壊スとこなの」
「は…はい💦お気をつけて💧」
「何の映画撮ってんだか💦」
ラブの一言で、闇サイトの扉が開いた。
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