【3】Grudge 〜怨〜

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闇サイト『Grudge(グラッジ) 』。 メンバーと思われる4つのイニシャル。 S.M.、M.H.、Y.H.、R.N.。 爆破のやり取りが幾つか残っていた。 「R.N.はレーサーの長平蓮、M.H.は警察の双葉麻耶ね。たまにしか来ないY.H.と、頻繁にインしているS.M.はまだ不明ですね」 昴がログを解析しながら告げる。 その時。 『誰だお前?』 即座に紗夜が打ち返す。 『双葉麻耶ね?』 少し間が開く。 『紗夜刑事か、さすがだな』 画面が消えた。 「サイトが抹消されました。つまり、いまのがホストです」 「やはり、双葉が首謀者ね」 「いえ、今のはS.M.です」 「えっ?でも私の名前を…」 「ホストであり、あの回数を見る限り、首謀者はS.M.だと思います」 「双葉より上がまだいるってこと⁉️」 「そろそろ、奴に聞いてみようぜ」 「そうね、淳と紗夜、お願い出して」 「分かりました」 取調べ室へ入る2人。 「やっと来たか。いい加減くだらない動画にも飽きていたとこだ」 「くだらないだと❗️」 「淳!」 淳一が苛立ち、紗夜が冷静に抑える。 紗夜に心を向けさせる、2人の手口であった。 「闇サイト『Grudge』のR.N.はあなたね?」 「へぇ〜よく気付いたな。何もないパスワードには、さぞかし悩んだだろう、へへ」 「他の3人は誰?」 「3人?知らないね。お互いに会ったこともない。必要ないしな」 部屋の右壁の裏にいる咲達。 TERRAの技術が生み出した、特殊強化ガラス。 バレバレのマジックミラーではない。 口元に手をやり、人差し指を頬へ。 嘘ではないという紗夜からの連絡である。 「厄介ね、会ってもいないなら、彼から3人を探るのは難しい…」 咲の言葉にうなずく。 「しかし…ヤツらかヤツかは分かんねぇが、俺は完全にハメられた!」 「どう言うこと?」 「俺の兄は、夢川翔を越えようとして死んだんだ。ヤツさえいなけりゃ、あんな無茶はしなかったはず…。しかし、まさかヤツが…そんなつもりで、兄と同じスーツで飛んでいたなんて…。そんなこと分かるわけないだろう❗️」 「ダンッ!」 テーブルを叩き、悔しがる長平。 「…ヤツを憎んだが、どこの誰かは分からなかった。それを彼女が教えてくれたんだ」 「ドームホテルから飛ぶ彼を狙ったのね?」 「ああ、嬉しかったよ…憎いヤツに会えて。ドローンでヤツを狙い、ヤツはバランスを崩して首都高へ落ちて行った…」 「車の屋根の靴跡はそれか…」 現場検証に立ち会った豊川が呟いた。 「あの事故の原因は、それなのね?」 「知るかよ!あんなことになるなんて、分かるわけないだろうが❗️」 「その通りね。あれは不慮の事故よ」 紗夜の人差し指は立ったままである。 「でも…夢川翔は、生きていた」 「そうだ。ヤツは生きていやがった!」 (悔しさ、後悔、(おそ)れ) 今の彼には、何も隠す気力はないと知る紗夜。 「そして彼女から、また彼の居場所を教えてもらったのね?しかし、どうして彼女は知っているのかしら?」 「ヤツの父親から聞いたと言ってたな。つまり、羽戸山大臣からってことだ」 「犯人が大臣と?身内の話までするって、どう言う関係なのよ?」 咲が困惑する中、昴が入って来た。 「咲さん、これが当時の管制官のリストです」 「やけに早いわね?」 「まずは…と思って警察のデータベースを検索かけたら、警視庁にありました。双葉の兄はいない様ですね」 「土門、戸澤、この富坂っていう主任から当たってみて。昴は、成田のデータベースを」 「成田は無理でした。公開できないと」 「そりゃそうですよ。でも、警察が目をつぶってくれたら、アイさんに頼みます」 「聞かなかったことにするわ。よろしく、月島さん」 「江東区か近いな、土門行くぞ」 3人が出て行った。
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