104人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
闇サイト『Grudge 』。
メンバーと思われる4つのイニシャル。
S.M.、M.H.、Y.H.、R.N.。
爆破のやり取りが幾つか残っていた。
「R.N.はレーサーの長平蓮、M.H.は警察の双葉麻耶ね。たまにしか来ないY.H.と、頻繁にインしているS.M.はまだ不明ですね」
昴がログを解析しながら告げる。
その時。
『誰だお前?』
即座に紗夜が打ち返す。
『双葉麻耶ね?』
少し間が開く。
『紗夜刑事か、さすがだな』
画面が消えた。
「サイトが抹消されました。つまり、いまのがホストです」
「やはり、双葉が首謀者ね」
「いえ、今のはS.M.です」
「えっ?でも私の名前を…」
「ホストであり、あの回数を見る限り、首謀者はS.M.だと思います」
「双葉より上がまだいるってこと⁉️」
「そろそろ、奴に聞いてみようぜ」
「そうね、淳と紗夜、お願い聞き出して」
「分かりました」
取調べ室へ入る2人。
「やっと来たか。いい加減くだらない動画にも飽きていたとこだ」
「くだらないだと❗️」
「淳!」
淳一が苛立ち、紗夜が冷静に抑える。
紗夜に心を向けさせる、2人の手口であった。
「闇サイト『Grudge』のR.N.はあなたね?」
「へぇ〜よく気付いたな。何もないパスワードには、さぞかし悩んだだろう、へへ」
「他の3人は誰?」
「3人?知らないね。お互いに会ったこともない。必要ないしな」
部屋の右壁の裏にいる咲達。
TERRAの技術が生み出した、特殊強化ガラス。
バレバレのマジックミラーではない。
口元に手をやり、人差し指を頬へ。
嘘ではないという紗夜からの連絡である。
「厄介ね、会ってもいないなら、彼から3人を探るのは難しい…」
咲の言葉にうなずく。
「しかし…ヤツらかヤツかは分かんねぇが、俺は完全にハメられた!」
「どう言うこと?」
「俺の兄は、夢川翔を越えようとして死んだんだ。ヤツさえいなけりゃ、あんな無茶はしなかったはず…。しかし、まさかヤツが…そんなつもりで、兄と同じスーツで飛んでいたなんて…。そんなこと分かるわけないだろう❗️」
「ダンッ!」
テーブルを叩き、悔しがる長平。
「…ヤツを憎んだが、どこの誰かは分からなかった。それを彼女が教えてくれたんだ」
「ドームホテルから飛ぶ彼を狙ったのね?」
「ああ、嬉しかったよ…憎いヤツに会えて。ドローンでヤツを狙い、ヤツはバランスを崩して首都高へ落ちて行った…」
「車の屋根の靴跡はそれか…」
現場検証に立ち会った豊川が呟いた。
「あの事故の原因は、それなのね?」
「知るかよ!あんなことになるなんて、分かるわけないだろうが❗️」
「その通りね。あれは不慮の事故よ」
紗夜の人差し指は立ったままである。
「でも…夢川翔は、生きていた」
「そうだ。ヤツは生きていやがった!」
(悔しさ、後悔、畏れ)
今の彼には、何も隠す気力はないと知る紗夜。
「そして彼女から、また彼の居場所を教えてもらったのね?しかし、どうして彼女は知っているのかしら?」
「ヤツの父親から聞いたと言ってたな。つまり、羽戸山大臣からってことだ」
「犯人が大臣と?身内の話までするって、どう言う関係なのよ?」
咲が困惑する中、昴が入って来た。
「咲さん、これが当時の管制官のリストです」
「やけに早いわね?」
「まずは…と思って警察のデータベースを検索かけたら、警視庁にありました。双葉の兄はいない様ですね」
「土門、戸澤、この富坂っていう主任から当たってみて。昴は、成田のデータベースを」
「成田は無理でした。公開できないと」
「そりゃそうですよ。でも、警察が目をつぶってくれたら、アイさんに頼みます」
「聞かなかったことにするわ。よろしく、月島さん」
「江東区か近いな、土門行くぞ」
3人が出て行った。
最初のコメントを投稿しよう!