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〜首都高速5号霞ヶ関線〜
東京方面へ走る小型乗用車。
松川里美、27歳。
20時過ぎ。
混んでいても流れの速い首都高である。
大型タンクローリーに煽られつつも、車線を変えられないでいた。
中央本線水道橋駅近くの、二重高架に差し掛かった時。
「バンッ❗️」
何かがぶつかった音と衝撃に、思わず急ブレーキを踏んだ松川。
クラクションを鳴らし、タンクローリーも急ブレーキをかけ、ハンドルをきる。
「ギギギギギィィー!ガンッ❗️」
弾き出された松川が、対向車線へ飛ぶ。
(あっ…)
衝撃から放たれ、無重力感が現実逃避を生む。
何でもない記憶が、ふっと頭を過ぎる。
(死んじゃうの…かな…私?)
スローモーションの様に過ぎる一瞬。
高速バスをギリギリかすめ、比較的すいていた路面を、路肩まで転がって止まった。
「ズガガガッ!」
右カーブでの急ブレーキに、トレーラータンクが耐えきれず、左側車線の車を跳ね飛ばしながら、側壁を破り高速から飛び出す。
丁度水道橋駅を出た電車と、反対の飯田橋駅からの電車が、すれ違う僅かな瞬間。
その真上へ満載のタンクが落下した。
「ド💥ドドーン💥💥❗️」
大爆発と共にガソリンが飛散し、一瞬で高架周辺を火の海に変えた。
爆発の衝撃で、中央本線の古い高架が崩落し、さらに下の道路にいた車列を押し潰す。
「ヅガガガ❗ド️ドーン💥」
玉突き事故が重なる首都高。
脱線し落下する中央本線。
踏み潰される一般道。
凄まじい爆発💥が誘発し、炎が勢いを増して拡大する🔥。
最悪の大事故となった。
その頃。
〜ホテル メトロポリタンの屋上〜
爆音が響き、反射的に身を沈める紗夜と淳一。
それに続いて爆炎の熱波が伝わって来た。
「な、なんだありゃあ❗️」
「大変な事に…」
直ぐに耳の小型通信機を入れる紗夜。
「紗夜です。たった今水道橋駅付近の首都高で、多重事故による爆発を確認しました❗️」
「事故?」
警視庁刑事課の敏腕刑事、鳳来咲が、システム担当の神崎昴に目で合図を送る。
全員が耳の通信機で通じていた。
メインモニターを分割して、周辺にある監視カメラ映像が映る。
「何これ?どうしたらこんなことに…」
刑事課にいた部長の富士本恭介、土屋香織も立ち上がり絶句する。
「紗夜、投身自殺の女はどうなの?」
(しまった!)
「…あれ?」
既に彼女の姿はない。
「マジかよ⁉️」
慌てて下を覗く淳一。
しかし…何の異常も見当たらない。
「大丈夫…の様です。とりあえず、事故現場へ応援に向かいます」
「了解!気を付けて」
「ドーン💥」
ビクっとする2人。
東京ドームで花火が上がった。
「こんな時に花火かよ💦全く、紛らわしい!」
急ぎ現場へ向かう2人であった。
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