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【4】Madness 〜狂〜
〜TERRA医療機関〜
集中治療室で、まずは容体が安定した草吹。
気が付いた草吹に問われ、月島が今の状況を説明する。
草吹の体は癌細胞に侵され、宣告された期間は、既に過ぎていた。
「そう…奇跡の生存者が、今回の殺人鬼だなんて。いったい彼女に何が…」
「最初の事故は、夢川の最後を確認しに行ったのだと思います。まさか彼が、自分の車に向かって来るなんて思いもせず」
「不運な運命ってあるのよね〜。…そんな目で見ないで、月島さん」
「ごめんなさい」
「確かに、病気は不運かもしれないけど、気付かなかった自分のせいよ」
気付いてはいた。
しかし、CIAの任務は個人より優先される。
これ以上は、任務に支障を来すと判断し、辞任した。
キャリアは当然極秘。
彼女に残されたものは、十分な報酬と、ぼろぼろの体だけであった。
「あっ、アイさんからリストが届きました」
「何のリスト?」
「事故当時の成田空港管制官の詳細と、ついでに搭乗者と死亡者リストも…あら?霞さん、どうかしましたか?」
「さっき、警視庁のデータベースに、管制官リストが一部あったって言ったわよね…」
「はい、昴さんが見つけました」
「やられた!直ぐに咲さんに連絡して!それは双葉麻耶が仕掛けた罠よ❗️」
タブレットを置いて、電話しながら走る月島。
タブレットを開き、リストを見る草吹。
(ん?まさか…)
更に検索を追加する。
「そんなっ!今日は…マズイ⁉️。アイ、咲さん達にリストを送って!」
「畏まりました」
「もしもし咲さん!警視庁のリストは、双葉麻耶の罠です!2人を止めて下さい❗️」
「何だって⁉️昴、土門と戸澤は?」
「ついさっき、主任管制官だった富坂の自宅に着いた様です」
通信機を入れる咲。
「戸澤、土門❗️罠よ、入っちゃダメ❗️」
「はぁ?… 「ドドーン💥💥❗️」
戸澤の声を激しい爆音がかき消した。
「こざわぁー⁉️」
咲の声が響き渡った。
そのまま床に座り込む咲。
「戸澤…土門…お願いだから、返信して。はやく…早く返事しなさいよ❗️…お願いだから」
「そんな…あなた❗️何か言ってよ、あなた…」
気を失って倒れる土屋を、富士本が抱き止めた。
「救急車をお願いします、場所は…」
状況を察知し、警視庁ビルへの連絡通路から、電話を掛ける月島。
その時、裏の駐車場から出てきた車が、通路をくぐって、表通りを猛スピードで曲がって行った。
「霞さん❗️…そんな体で、どこへ…」
狂気の炎が🔥、ついに咲達にも牙を剥いた。
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