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〜管制室〜
何かが裏に突っ込んだと分かった松川。
作業を急ぐ。
「おいお前、シンガポール航空SQ5916便を、D滑走路へ誘導しろ!」
「バカな!先の機が2機待機している。それに今は風の影響で、海側の23ではなく05からのアプローチとなるが、SQ5916便のクラスでは厳しい。C滑走路を34R側からの予定だ」
東京国際空港(羽田空港)には、AからDの4本の滑走路があり、風向きや機体のサイズ、タイプで随時使い分けている。
主任の山本が拒否を示す。
「いいから早くしろ❗️」
「無理よ、パイロットには分かってるわ!」
生島が山本をフォローする。
「生島部長、もう限界の機がコンタクトを取り合って、自力で着陸を始めました!」
松川がカスタムタブレットをフライトシュミレーターに繋ぎ、『音声通信不調につき、メッセージ通信とする』旨を全機に送る。
そして着陸態勢の機への情報を、書き換えた。
風向き、最適な侵入角度や高度である。
その地上からの情報が、安全な着陸には必要であった。
「何をしたの⁉️」
「見てれば分かるさ」
C滑走路へ、ソウルからのアシアナ航空機から、了解のメッセージが届く。
その3分後。
機首と侵入高度を下げすぎた機が、滑走路で跳ね、折れた機体が爆発💥した。
「そんな…なんてことを⁉️」
「さて、これでC滑走路は使えない。Dしかないぞ。30秒で機を逸する。因みに、音声回線は破壊した」
「クソッ!山本、星野、メッセージ通信で順次降ろして」
「無理です。待機の機が多すぎて、間に合いません!」
言いながらも、迷っている暇はない。
出来る範囲で指示を送る2人。
「シンガポール航空SQ5916便を、D滑走路へ降ろせ、今直ぐにた❗️」
「出来ません!既に別の…」「バシュ❗️」
頭を撃ち抜かれた星野が、椅子から崩れ落ちた。
「うるさい、邪魔だ」
「狂ってる❗️」
一言吐いて、代わりに生島が席に座る。
「何て事を…」
墜落事故を知ったラブ。
「アイ、ここのフライトシステムを切って、周辺の空港へ機を預けて連絡を❗️」
「了解しました。国内線はそこの2人に任せ、国際線を成田へ回します」
衛星データから、各機を把握し、成田空港と航空機へ連絡するアイ。
エネルギー生命体であるアイ。
自らを分離し、同時に指示をこなす。
「クソッ、何なんだ⁉️」
制御出来ないシステムに、松川が苛立つ。
「もう無駄よ、諦めなさい」
ラブが現れた。
距離20m。
通常の銃弾なら、かわせる間合いである。
「トーイ・ラブ、お前の仕業か…」
「あなた死ぬ気ね、松川」
「もうバカな連中の相手は疲れた。動くな、ラブ。遠隔操作の熱感知RPG弾を設置してある。こう言う時の為にね」
手元のスイッチを見せる。
「抜かりは無しか…」
(紗夜さん、聞こえたわね?)
(はい。聞いています)
管制室に集中している紗夜。
(凛に回収する様、伝えてください)
(分かりました、ラブさん気をつけて!)
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