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【2】Trial 〜試〜
〜警視庁捜査本部〜
19時過ぎ。
豊川と紗夜が戻って来た。
「お疲れ〜遅かったわね?」
と言って振り向いた咲。
「何なのよそれ⁉️」
「ずいぶんなお土産だな」
「爆発で遺跡でも出たのか、紗夜?」
戸澤と淳一がボケ担当になる。
「んなわけないやろ❗️」
見事なツッコミの咲。
一応…元大阪の弁護士。
大きなダンボール箱は、ところどころ破れて、瓦礫が突き出ていた。
「原田、この辺でいいだろう」
「へぇ〜もう限界っす」
刑事課フロアに入り、箱を下ろし、ヘトヘトの原田が座り込む。
「ご苦労様…って、あんたダレよ?」
近付いて前屈みで尋ねる咲。
現れたハイヒールから、美脚を上へ辿る原田。
顔が近い💦
「俺の運転手だ」
「なんだ…運転手さんね…って⁉️何で神がいるのよ❣️」
箱の後ろで手を振る組長。
2人は禁断?の恋仲であった。
「神、これは弾1個分だからな」
呟く豊川。
「チッ!ケチ臭ぇヤツ。悪いが、原田に水くらい貰えねぇか?」
子分思いの組長。
「そんなところにいないで、こちらへどうぞ」
ガラス張りの会議室のテーブルに、土屋が飲み物を並べていた。
「気が効くじゃねぇか、新人…か?」
「…んなこといいから、説明しなさい神❣️」
「邪魔だ、中でやれ。俺はこれを調べるから、先に始めといてくれ」
箱の瓦礫を床に並べ始める豊川。
「富士本さんは?」
珍しくいないことに気付いた紗夜。
「花山総監と経済産業大臣のお通夜です」
「やっぱ持たなかったか〜いい役やってたのになぁ。今時、あんな大臣は珍しいぜ」
「淳一さんが褒める方が珍しいですけど」
事故のデータをモニターに出しながら、昴が呟く。
「昴さん、何か心配事でも?」
淳一に反論する間を与えず、土屋が尋ねた。
「確かに、最近元気ねぇな」
夫の戸澤が続く。
紗夜には分かってはいた。
「あれっきり、スカイダイバーが現れないですよ。大丈夫かなって…」
「お前、やっぱりそっち系か?」
「違いますよ戸澤さん💦あんな風に飛べたら、気持ちいいだろうなぁって思うだけです」
「高所恐怖症の昴にはムリ❗️はいはい、始めるわよ……はぁ〜全く💧」
「俺か?まぁ…気にすんな。ヤクザの1人や2人いたっていいだろうが」
いいだろうが…ではない。
警視庁にヤクザは普通…ない。
しかも組長、さらに2人である。
「まぁ…面白ぇじゃねぇか」
「良い人みたいだし」
なぜか噛み合う夫婦の絆。
そして更にややこしくなるお客様が、エレベーターに乗った。
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