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追悼02 残虐な選択肢
優斗はいつものようにグループ仲間と暇を持て余し、つるんでいた。そこに、他校の高岳風馬がいた。風馬は、他人が付き合っている女性を奪い取ることに興味を示す性癖があった。
「何か面白い事はないのか、つまらねぇな」
「そうだな、あっ、そうそう、桜子の写真を見るか」
「桜子、別にいいや」
「へ~、これでもか?」
風馬が優斗に見せられたのは、桜子のあわれもない姿だった。
「おお、いいねぇ。他にないのか?」
「あるよ」
優斗と風馬が盛り上がっているのに興味を示した美帆は、二人の合間から携帯に映し出される桜子の姿を確認した。
「あなたたち、そんなの見て楽しいの?」
「ああ、楽しいねぇ」
それを聞いた中野美帆は、異常な嫉妬心を覚えた。自分以外の女が男たちの話題になっている。女王様気取りの真帆にはそれが許せなかった。真帆は、自分の弱さを悟られないように常に周りの動向を気にしながら、自分を脅かす存在の消去に勤しんでいた。
被害妄想。真帆にとっては、自分の存在を脅かす者を消去するための危機管理の手段のひとつにしか過ぎなかった。妄想は、脳内でとんでもない物語を紡ぐ。それに慣れた者は、現実と非現実の境界線を曖昧にしていく。真帆は、優斗がわざわざ携帯に桜子の写真を残し、他の男に見せ、それに風馬が興味を示しているのが許せなかった。
「優斗、その画像、私に転送してよ」
「いいよ」
自分の携帯に桜子の画像が転送されたのを確認した美帆は、にやりと笑った。次の日、桜子は美帆に呼び出された。そこには、いつものメンバーと取り巻きの素行の悪い小学生が数人、合わせて十人近くがいた。
「桜子、これを見な」
「これは…」
「拡散されたくなければ、言う事を聞きな」
「…」
「優斗を誘惑してチームワークを乱した罰よ」
「そんなことしていない」
「これが証拠じゃない」
「違う、違う」
美帆は、作為的でなく性格的に馬路雑言を桜子に浴びせ続けた。桜子はその暴言に耐えられず、耳を塞いでその場にしゃがみ込んだ。その時、桜子は足を八の字に開き、その隙間から白地に花柄のショーツが覗いていた。風馬と優斗はその一点に視線を集中させていた。それを感じ取った美帆はとんでもない事を言いだした。
美帆にとって桜子は、生徒会に入りたいというだけあって口では勝てない鼻に付く存在だった。パニックを起こすことはあっても普段は、はつらつとした態度が気に入らなかった。
自分の下僕にならない桜子に教科書を隠したり、カッターで足を傷つけたりしても、耐える姿が美帆の苛立ちを頂点に導き、桜子の存在を消すことに執念を燃やすようになっていた。
「許して欲しい」
「うん」
「じゃ、何でも言う事を聞く?」
「うん」
「じゃぁ、オナニーして見せてよ、優斗、見たいでしょ」
桜子は、激しく首を左右に振った。それを見て風馬が畳掛けた。
「やらないんなら、Hしてやろうか、ゴムなしで」
桜子は、再び激しく首を左右に振った。
「じゃ、やるわね」
「う・うん」
桜子はパニックを起こし、この場を逃げたい一心で美帆の要求に従ってしまった。
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