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 〇東 朝子   あたしは(ひがし)朝子(あさこ)、もうすぐ22歳。  許嫁だった(うみ)くんと、結婚…するはずだったけど。  彼とは残念ながら破局。  なぜかは…今はまだ、あまり思い出したくない。  前向きに歩いてるつもりだけど…  やっぱり…まだ胸が痛い。  小さな頃から、海くんが結婚相手と思っていたあたしは…  他の男性には目もくれず。  ひたすら…海くんを想っていた。  はずだった。  …はずだった…って言うのは…  あたしは世間知らずで。  ちゃんとした恋と言う物が…よく分かってなかったから。  もしかしたら…  海くんに抱いていたのは、恋への憧れで。  ホンモノじゃなかったんじゃ…とも思う。  そう思ってないと…やってられない。  …それが本音かも。  彼はずっと、紅美(くみ)ちゃんが好きだった。  彼のイトコである…紅美ちゃんを。  何も知らなかったあたしは…  すごく…苦しい想いをしたけど…  ……もう、いいのよ、朝子。  うん。  あたしは、婚約を破棄して。  二階堂を出た。  世間知らずのあたしが一人暮らしをして、自分探しを始めるなんて。  あたし自身…  一番驚いてる。  そのキッカケを作ってくれたのは…  彼…だった。
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