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 あたしは…  映くんと付き合う…事に…しよう…と思ってる。  好き…って言う気持ちは、何を持って計ればいいのか分からないけど…  一緒にいた時間を思い出しただけで…ドキドキする。  会いたい…  そう思ってる事…  ちゃんと伝えようと思った。  それで…  会って話がしたい…って…メールしてみようかな…と。  あずきの遅番、休憩中に。  あたしは…携帯を手に、悩んでいた。  うーん…  昨日の今日で…  返事は早いのかな?  キスされて、その気になったって思われちゃうのも…  …でも、それも本当だしなあ…  何より…  あたしが気にしてる、この傷の事…  映くん、本当に気にしてなくて…  …気にしてるぐらいなら、ちゃんと手術受ければいいのにね…あたし…  もしかしたら…  その相談も、映くんにはできるのかもしれない…  意を決して携帯を持ち直すと…  ピン  最近…一番好きな音がした。  映くんからとは限らないけど…  誰かからメールが来るって、ちょっと嬉しいなって思う。  メールは…映くんだった。 『朝子ちゃん、昨日はありがとう。すごくいい時間が過ごせたよ。またドライヴに付き合ってくれると嬉しいな』 「…はあ…」  溜息をついて、携帯を抱きしめてしまった。  あたしが思ってたのと…同じ。  すごくいい時間が過ごせた。  また…一緒にどこか行きたいな…  …て言うか…  こういうお礼って、あたしから返さなくちゃダメだよね…  ああ…  こういう時に、恋愛経験が乏しいのが残念でならない… 『こんにちは。こちらこそ、昨日はありがとう。お礼が遅れてごめんなさい。とても楽しかった。迷惑じゃなかったら、また誘って下さい』 「…違うでしょ、あたし…」  少し考えて、打ちなおす。 『こんにちは。こちらこそ、昨日はありがとう。とても楽しかった。昨日のお礼にご馳走したいので、良かったら今度うちに来ませんか?』  ドキドキした。  いきなり…部屋に呼んだりしたら…引かれるかな?  軽いって思われる?  だけど…  昨日、映くんあたしにお金を払わせなかったから…  そうなると、お返しも、外食じゃない方がいいかなって思うし…  いつか料理してって言われてるし… 「…えいっ。」  勢いに任せて、送信した。  きっと彼は…こんな事で、あたしを批判したりしない。  気がする。  すると… 『今休憩中?』  すぐに返信が。 『うん』  あたしが返信してすぐ…電話が鳴った。  ドキドキしながらそれを取ると… 『すっげー嬉しい。いつなら都合いい?』 「…え?」 『飯作ってくれるんだろ?』 「あ…あ…うん…頑張り…ます。」 『俺はどうにでもなるから、朝子ちゃん、昨日みたいに早番で次の日が遅番の時にしなよ。』 「あ…えっと…それなら…来週の火曜日…かな。」 『分かった。もう予定に入れとく。』 「好き嫌い、ある?」 『ない。何でも食う。』 「ふふっ。」  即答に笑ってしまうと。 『あー、すっげ楽しみだ。朝子ちゃんのおかげで、火曜までは毎日ワクワクだ。』  映くんは…  あたしをすごく笑顔にするような事を言ってくれた。
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