回る社長

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 手渡された、びしょびしょのシャツとズボンから雨の嫌な匂いがした。除菌スプレーをかけ、二人の洋服をハンガーに吊す。仕方なく、備え付けのパジャマとやらに着替えると、ものすごく半端な丈のバスローブだった。膝が出て、スースーする。それでもずぶ濡れズボンよりはマシだった。 「おい、俺が倒れないように見張ってろよ」 「えっ」  スケルトンの風呂場へ入って行く四角い尻が見えた。 「うんぬー」  湯が熱すぎたようで、呻き声が聞こえた。サイかコビトカバの水浴びシーンだと思い込もうとしたが、全く愛らしく感じられなかった。社長の入浴を見張り続けるのが苦痛過ぎる。気を紛らわす為にテレビをつけたら、セクシー女優がくねくねしていて楽しそうだった。 「おい、ちゃんと見てるか?」  声にビビってテレビを消すと、コビトカバが泡風呂からざぶりと上がった。 「え、ええ」 「おお、スッキリした。ん? ずいぶんと短いな」  社長も短いバスローブを着て、太い足で丸型のベッドに乗るとゆっくりと回りだした。 「社長、なぜ回っているのです」 「いや、電気つけようと思ってだな」
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