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今オレにかかっているのは、どうも、「青少年保護条例」の嫌疑のようだった。要は18歳未満の少女にわいせつなことをしたって事のようだ。
そりゃあ平凛はまだ16歳だよ?それに毎晩…時々そういうこともしてるけど、夫婦なら当然だろ?
「ね、岡野さん、この際本当のことを話して楽になりませんか?」
この物言いを聞いて、オレは犯人がこういう時、こんなひどい心理状態になってしまうのかと同情した。こういう言い方で追及されると、どんどん神経が疲弊し麻痺していく感じだ…。オレがもしここでつい、「ハイ」と言ってしまえば、冤罪事件の出来上がりってわけだ。
気力を少しだけ引き上げてオレは、
「弁護士はまだですか?」
(来ないなら私は帰ります)と続けようとしてやめた。この調べ室の外に2名、この課の出入り口に2名が配置されているのが見えたからだった。
これは任意捜査のようにみえる強制捜査だ。法的には拘束力は何もないから、帰ろうとすれば帰ることができる「ハズ」なのだが…。帰ろうとすれば何かとイチャモンをつけて帰られないようにしてくるだろう。
その時一人が調べ室の入り口にエリートを呼び寄せ耳打ちをした。
エリートは、
「弁護士が来たそうです。隣の小会議室で会ってもらうことにします。出入口の外には我々がいるから、変な気を起さないようにして下さい」
と言った後、あとは部下に任せたようで、退室した。
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