4人が本棚に入れています
本棚に追加
2.平凛、告白される
2年になった平凛は、苗字を神宮寺から岡野に変えていた。クラス替えもあって、前のクラスで一緒だった人もあんまりいなかったので、名前の事は問題なく受け入れられた。
平凛の席の隣に、ちょっとデブの坊ちゃん風の男が座っていた。あともう少しで授業が終わるという時にその男は、横から平凛の机の上に四つ折りの紙を投げて来た。中を見る。
「今日の放課後、駐輪場横に来い。来ないときは、お前の秘密をバラす」
そう書かれていた。
平凛は別にバラされて困ることはなかったので、その紙をクシャクシャと丸めてそのデブに放り返した。
授業が終わった直後、そのデブは今度は口頭で言ってきた。
「来ないとダンナが困ることになるぞ。いいな。時間は3時半だ」
平凛は最初行く気はなかったが、「ダンナ様」ってとこが気になって仕方なくその時間に指定の場所に行った。
既にデブは来ており、
「よく来たな。お前、男と住んでるだろ?朝大きな家から出てくるのを見たんだよ。このことをバラされたくなければ、オレと付き合え。これは命令だ」
と言いたいことを言った。
平凛は、
「バカですかあなたは。私には夫がいるんですよ?」
「ええ?そんなウソを言って逃げようと言うのか?」
どうも人の言う事を信じないタイプの男らしい。
「信じる信じないは勝手ですけど、どのみちあなたに興味はありません」
と平凛はキッパリ断った。
「ぐっ…。お前、覚えてろよ!」
捨て台詞を残してデブは去った。
最初のコメントを投稿しよう!