3.平凛の決意

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 西森弁護士によると、 「市役所の協力を得られて、やっと全てがわかりました!」 と言ったが、オレは疲れていたため、 「そうですか…」 と言うのがせいいっぱいだった…。  西森弁護士の話はこうだった。 「防犯カメラの映像がギリギリ残っていて、3月30日午後10時14分に、お二人が受付に見え、婚姻届けを出しているのを確認しました。その時の担当者は、岡野さんの言ったように、出身がS市で幡多弁をしゃべる61歳男性でした。  その方に会って話しましたが、その方は「こんな若い娘をヨメにするのか?」と内心思ったそうで、よく憶えておいででした。婚姻届けの書類を確認した時、奥様の名前の読みが「ヒラリ」であったということも憶えていてくれてました。何かヒラヒラしたイメージだったので、憶えていたということでした。  それともう一つ重要なことがあります。時間外受付に来られた記念品に、「坂本龍馬」の小さい石像を配っているということでした。もらっていませんか?」 「あ!」 とオレと平凛が同時に言い、平凛は走って階段を駆け上がった。  すぐに駆け戻り、大事そうに胸に抱えたものをそっと手のひらに移した。  坂本龍馬の小さな石像に間違いない。 「これで疑いが晴れましたね!」 西森弁護士は満面に笑みを浮かべて喜んでくれた。今日一日でこれだけ調べるのは大変だったろう…。 「ありがとう…」 オレは自然とお礼を述べて頭を下げた。  平凛を見ると、どこかに電話をしているようだった…。30分ほど電話をし、終わって振り向いたその顔に、涙が流れていたのでどうしたのか聞くと、是真(これま)さんに電話していたという。やはり今回のことを話してたのかな…。
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