甘いのは嫌い

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怖いくらいに穏やかな海辺。 心地良い規則的な波の音、鼻の奥をくすぐる潮の香り、高揚した気持ちを落ち着かせる 冷やりとした優しい風。 ふと夜空を見上げると、ゆるやかに輝く星がひとつ、ふたつ…… 見つけた瞬きの数だけ、口に含んでいる星をシャリシャリと噛み締めた。 どうしても好きになれなかった甘さと食感を、少しくらい堪能しようと思う。 けれど あまりに強く噛み砕いたからだろうか。 甘さの時々に、鉄の味がする。 砕けた破片が、頬の内側に傷をつけたのかもしれない。 それが ちょっぴり不快だ。 水平線の向こう側から、太陽が顔を覗かせるまで あとどのくらいだろう。 名残を惜しむように 星の形をしたそれを、もう一粒 手に取ってみる。
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