20人が本棚に入れています
本棚に追加
怖いくらいに穏やかな海辺。
心地良い規則的な波の音、鼻の奥をくすぐる潮の香り、高揚した気持ちを落ち着かせる 冷やりとした優しい風。
ふと夜空を見上げると、ゆるやかに輝く星がひとつ、ふたつ……
見つけた瞬きの数だけ、口に含んでいる星をシャリシャリと噛み締めた。
どうしても好きになれなかった甘さと食感を、少しくらい堪能しようと思う。
けれど
あまりに強く噛み砕いたからだろうか。
甘さの時々に、鉄の味がする。
砕けた破片が、頬の内側に傷をつけたのかもしれない。
それが
ちょっぴり不快だ。
水平線の向こう側から、太陽が顔を覗かせるまで あとどのくらいだろう。
名残を惜しむように
星の形をしたそれを、もう一粒 手に取ってみる。
最初のコメントを投稿しよう!