20人が本棚に入れています
本棚に追加
白み始めた空と海に気づき、そろそろ太陽が昇る時間だと悟った。
ゆっくりと立ち上がり、握り締めていた巾着袋の紐を解く。
それから中身をひと掬い、ふた掬い……
辺り一面に優しく撒いた。
これを口に含んだら、金平糖を噛み砕いたのと 同じ食感かもしれない。
もちろん甘くはないだろうし、溶けて消えたりもしないだろうけれど。
ううん、興味本位の悪戯はやめなければ。
『何すんだよ!ムカつくんだけど』
たぶんいつものように、不機嫌にさせてしまう。
生命の活動を司る、陽の光に照らされた海辺の砂と
同じくらいに砕いてあげた彼が混じり合い
もうすぐキラキラと 美しく光って見えるに違いない。
その輝きを眺めながら
最初で最後のプレゼントとともに
彼の元に行くのだ。
……再び出会う時、今度こそ 強く言わなくては。
「私、甘いのが嫌いなの」
「今はもう、間違いなく独身だよね」
待ってて
これから、あなたの傍に──
〜〜Fin〜〜
最初のコメントを投稿しよう!