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せーの
だめだ、もう我慢できない!
『ほら明生。せーの、で呼ぶよ!』
お腹が空いていらいらしてきたのか、口調が荒くなってしまう。それなのに明生はまだためらう様子でもじもじとわたしを見てくる。
『えぇ……。でも夏南。やっぱり悪いよ。やめようよぅ』
こいつはいっつもこう。意気地なしのいい格好しぃ! いらいらする。もう知らない!
『だってもうとっくにごはんの時間なんだよ! いいよ、わたしひとりで呼ぶから。明生なんてもう知らないからね。ひとりでお腹空かせてればいいよ』
ぷぅっとほっぺを膨らませて突き放すように言ったわたしに、遂に明生が折れる。
『……分かったよ。ぼくもお腹空いたし、一緒に呼ぶよ』
呆れたようにため息をついている様子には腹が立つけれど、ようやく仲間に引き入れられてほっとする方が大きかった。何と言ってもやっぱり相棒だ。
嬉しくてにひっと笑い、息を吸い込む。
『よぉし。それじゃ、いくよ? せーのっ』
さぁ、ママを呼べ!
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