ぺこぺこ

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ぺこぺこ

 おなかがすいた。    ぽかりと浮かんできたその思いはあっという間に大きくなり、他のことなど何も考えられなくなっていく。    おなかがすいた、おなかがすいたよ!    隣にいる相棒を見やり、訴えかけるような視線を向ける。   『ねぇ、おなかすいたね』    同じように口をぽっかり開けてこっちを見る相棒に話しかける。こいつもきっと同じだと思わせる、その表情。   『うん、おなかすいた。ごはんまだかなぁ』    ほら、やっぱり。だけどこいつはおっとりしているというか、意気地なしというか。最初に行動を起こすことはまずない。いつもわたしからなのだ。  だけど一応。一応ね、意見を聞いてみる。だってちょっと心細いし。   『どうしようか、呼んでみる?』 『でも……。忙しそうだよ。悪いよ』    ふたり揃って向こうに顔をやると、相棒の言う通り、疲れた顔をしてパタパタと慌ただしく動き回っているのが見えた。   『うぅん……。ほんと、忙しそう』    その様子に、さっきまで強気でいたわたしの心がしょぼんと萎む。いつもなら何も言わなくてもちゃんと持って来てくれるのに、今日は何だかいつもと違う。忙しいってタイヘンだ。はぁ、とため息までついている。もうちょっとガマンしてみようかなぁ。    でもやっぱり……。    おなかがすいた!
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