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制約の牢獄
私は今、捕まっている。恐ろしく危険な怪物に捕まっている。怪物は決して離してくれない。
私は今、牢獄にいる。絶望と苦痛に捕まっている。この牢獄からは決して逃れられない。
しばらくの間、この暗い牢獄で、私は苦しみ続け、泣いていた。
それから長い時間が経つにつれ、私はとある事実に気づき始めた。
捕まっていたのは、私一人だけではなかったのだ。
大切な人も、知らない人も、この世のすべての人が、捕まっていたのだ。
恐ろしい怪物とは違う、"何か"に。
……捕まる、と言えば。
お姫様が化け物に捕まるとか、あるいは、甘い誘いに騙されて悪い人に捕まったり、逆に悪いことをして警察に捕まったり。時には、運悪く動物用の罠に捕まる、とか。
いずれにせよ、身体を縛られて身動きが取れなくなる。そんな怖いイメージがあった。
しかし実際、身体を縛り付けられなくても、何でもかんでも自由にできる、というわけにはいかない。
現実世界では、ルールや法律を守らなくてはいけないし、大半の人は毎日学校や会社に行く。
つまり、現代の人間はみんな知らないうちに、ルールや法律、学校や会社に捕まっていたのだ。
そして中には、面倒くさい人間関係や忙しいスケジュール、世間の常識に捕まる人や、心を縛られる人もいる。
ではもし、ルールや学校から逃れられたらようやく真の自由が手に入るのか、とも考えたが、やはり違うことがわかった。
仮に、ルールも学校もない自由な世界に住んでいたとしても、地球の引力、月と太陽の影響からは決して逃れられないからだ。
ルールと学校は人間が作ったものだが、地球と月と太陽はそうではない。
逃れるということは結局、そう簡単にできるものではないのだ。
この世のすべての人は、必ず何かしらの"制約"という名の怪物に捕まっている。
制約は一つだけにとどまらない。むしろ一度に何個も背負うのが当たり前だ。お金、体質、寿命、義務……制約には、実に色々な種類がある。
そして、制約は人それぞれ違うものの、ほとんどの場合において、簡単に逃れることはできない。
しかしそれでも、多くの人はそれぞれの制約を受け入れ、自分なりに制約と向き合って、生きている。
……私も今、この暗い牢獄の中で、恐ろしい怪物に怯え、ただ泣いていた。
でも、もう私は諦めない。
この牢獄から逃れることは決して容易なことではないし、目の前には恐ろしい怪物が立ちはだかるだろう。
それでもいつか必ず、光が見える時を……希望を信じて、私は諦めない。
「怪物になんか、負けない」
困難に立ち向かい、生きる決意を固めた。
おわり
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