惑星ケーキ

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惑星ケーキ

 これは、夢の世界の冒険の物語。  冒険の舞台は、ホールケーキの形をしたふしぎな惑星。  ケーキ星には、色々な美味しいお菓子がそこら中に散らばり、無限にいくらでも食べられるほどだった。  お菓子を食べたり空を飛んだり遊んだりして、楽しい時間を過ごした僕。  ところが突如、ふと上を見上げたところ、惑星サイズの野球ボールがこちらに接近してきたのが見えた。  このままではボールとケーキがぶつかりケーキが破壊されてしまう。  ケーキの危機を救うべく僕は色々な方法を何度も試した。必死に。  しかし流石に、僕一人だけの力では限界があった。  僕は大パニックにうろたえることしかできなかった。  そのとき、小さなケーキの姿をしたケーキ星人たちが現れたかと思うと、僕にお願いを託してきた。  彼らは僕を、伝説に伝わる英雄と見ていたようだ。  僕たちみんなはケーキを救う方法を話し合うものの、パニックのあまり進まず、ケーキ滅亡までの残り時間はあとわずかになっていた。  ボールが間近に迫ってくる中、ケーキ星人の一人が名案を思いついた。  名案とは、ボールを巨大なバットで打ち返すことだった。  みんなは一人残らず賛成した。  すると、ケーキ星人のみんなが合体し、一つの巨大バットへ変身した。  気がつけばなぜか僕も巨大化し、重たいバットを持てるようになった。  僕が惑星ほどの巨大バットを力強く振るうと、野球ボールは宇宙の彼方へ追い払われた。  こうしてケーキ星の危機を救った僕は、英雄として星人から褒め称えられた。  像や記念碑も建てられ、新聞や教科書にも載った。  いつまでもいつまでも、忘れられることはなかった。  しかしそれは、僕が夢から目覚め、ケーキ星にいられなくなることを意味していた。  実は、ケーキ星の冒険は夢の中の出来事にすぎなかったのだ。 「今日はいい夢見たな。 現実の世界でも、こんな風に活躍できたらいいな。 何かを救う、誰かを救う、ヒーローになれたらいいな」  翌朝、夢から目覚めたあと、僕はそう思った。 おわり
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