きみは不思議な人

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第一印象は誰だとしてもこう答えるだろう、「綺麗な顔をしている」って。 遠くから見ても近くから見ても、毛穴もニキビも吹き出物も、男子高校生となれば生え始めるはずの髭すらも、まるで見つからない。 そう、本当に、なんていうか、機械的な意味でも綺麗な顔をしているのだ。 そりゃ女子も黙っているわけがない。 タイミングを見計らっては常々声をかけて、そしてバッサリと切り捨てられる。 「そ、そうなんだけど…!そうじゃなくて!一緒に勉強したいなって…!」 「じゃあ今から言うね。問1は括弧3α括弧閉じる3乗-3×――――」 「ちょっ、ちょちょちょちょ…!まって透架くん…!!」 いやそれはさすがに無理でしょ…。 公式が乗ってるページに加えて段数だけじゃなく、プリントすら見ずに答えを暗記してるだなんて。 そんな記憶力を持ってるのなんかロボットくらいだ。 「速すぎた?もう少し遅くするよ」 「いやっ、そーいうことじゃなくて…!」 「…じゃあどういうコト?解らないって言うからボクは言ってる」 「う、うんっ、でもあたし達はただ…透架くんと仲良くしたいのもあるっていうか…」
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