きみは不思議な人

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「ねぇ、なんで人間って泣くの?」 え、哲学…? それって哲学じゃない? とりあえず静かに教室に入ると、窓際に立つ青年はいきなりそんなことを聞いてきた。 「に、人間…?スケール大きくない……?」 「じゃあ泣くのは女の子だけ?男の子は泣かないの?」 「…いや…、泣く、けど…」 そもそもこうして話したのは初めてだ。 いまは高校2年の6月。 高校1年生のときはどうだったっけ…と思い返しても、思い出せない。 同じ中学出身ではないから高校生からの知り合いだとしても。 たしかに1年は一緒に過ごしたはずの記憶に、なぜか彼と関わったと確信できる思い出がひとつも無かった。 私が忘れてるだけ…? いや……ちがう。 この人は本当にここにいた……? 「ショーカさん、」 名前を呼ばれて、はっと意識が戻った。 ショーカさん……だと。 まさか下の名前で呼ばれるとは、むしろ覚えられていたとは。 「…私の名前…しってたの…?」 「うん。クラスメイトは脳に入ってる」 だとしても相良 透架がクラスメイトを、なにより女子を下の名前で呼んでいるところなんか聞いたことなかった。
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