きみは不思議な人

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ちょうど傍のドラッグストアから出てきた母親と思われる女性がひとり。 泣く娘を見ては顔をぎょっとさせながら駆け寄ってくる。 「大丈夫大丈夫!こんなのまだ全然食べれるから!」 「うぅっ、わたしのショートケーキっ」 「ぜーんぜん型崩れしてないわよ、ショートケーキ」 「ちがうっ、イチゴが落ちちゃってる…!」 また乗せればいいじゃない、と。 母親は困ったように言ってから、それでも泣き止まない娘の手を引いてスーパーの方へ向かった。 「じゃあイチゴだけ別で買おっか」 「…うん」 あ、それでいいんだ…。 でも分かるよ、イチゴがちゃんと乗ってるからこそのショートケーキだよね。 そうじゃなかったら特別感が薄れてしまう。 「でもどうして転んだの?」 「…ぼーっとしてた、」 「まったくドジね~」 ちがうよ、ぼーっとしてたんじゃないし、そもそも転んでない。 私はちゃんと見てた。きみは何も悪くないってこと。 悪いのは、電車に乗り遅れないようにするためだけに周りを見ずに走ってた中学生共だ。 それなのに女の子はそのことを一言も話さずに隠しとおす。
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