新たなる決意(透也SIDE)

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新たなる決意(透也SIDE)

   翌日、透也には永原会長からの謝罪と、婚約解消の連絡が入った。会長は、今後の付き合いの存続を求めたが、透也は断固としてそれを拒否した。今後の処理については、補償も含め、担当弁護士と話を進めることになっている。  週刊誌報道に関しても、メスを入れた。  書かれていたことは、すべて虚偽だということを認めさせ、雑誌社に謝罪と訂正の発表をさせた。  そして久我咲グループの会長で、透也の父である久我咲竜蔵は、柳井を推薦した責任を負う形となり、今後はグループに関わる一切の仕事に関して口を出さないことを約束させた。つまり事実上引退することとなった。  透也は父との対話で、今後も裏で口を出すようなことがあるのなら、自分が辞任するとまで宣言したのだ。息子である透也が事件によって退けば、久我咲の内部紛争にまで発展しマスコミに騒がれ、ホテルの名に傷がつく。さすがの竜蔵も、今回のことで口を出せなくなった。そのくらい、透也の父親に対する条件は激しく凄まじかった。  透也にとっても今回の事件は、ある意味、自分自身にとってのけじめとなったのかもしれない。  今後は自分が久我咲グループを責任もって引き受ける代わり、父のしがらみと決別できたのだから。
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