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いつもはうたた寝してしまう深夜、リビングのソファーで透也の帰りを待つ。今夜も帰宅は深夜になった。シャワーを浴びて、部屋着に着替えた透也がリビングに現れた。ソファーに起きて座っている綾芽を見て、驚いた表情を浮かべている。
「今夜は眠り姫にならないのか?」
「透也さん、バクって知ってます? 悪い夢を食べちゃうんですって。今度、動物園へ見に行きましょうか? 透也さんの夢を食べてもらうように」
「クククッ。そうだな。だが、夢を食べる獏は想像上の架空動物で動物園にはいないらしいが。いいよ。一緒に行こう」
楽しそうな笑顔を浮かべながら、ソファーに座る綾芽の隣に腰を下ろした。
「どうして夢を食べてもらいたいんだ?」
「だって……今朝、とてもつらそうにしていたから……」
「やっと綾芽を手に入れたのに、幸せ過ぎて、手からこぼれ落ちてしまわないか心配になった。幸せに慣れていない……ただ、それだけだ」
「私、透也さんを必ず幸せにしますから」
「それは俺が言うセリフだろ?」
「だって……」
「昔、母親がよく俺に言ったんだ。愛する人を見つけて、その子を最後まで幸せにしろって。今ならそれが叶えられそうだよ」
言い終わると、透也は綾芽を抱き寄せ、甘く長いキスを送った。
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