4.気乗りしないデート

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 綾芽がすぐに思い浮かぶ男性は、透也しかいなかった。  でも、それはただ他に好きな相手が現れなかっただけなのかもしれない。もしかすると、これからそんな出会いがあるのかもしれないのだから。 「そうやって悩んでいる顔が可愛いよね」  頬杖をつきながら、綾芽を眺めニヤニヤする。 「からかわないで下さい」  それから一時間ほど過ぎ、神矢の酔いがさっきより酷くなってきた。 「こうやってさぁ、二人で会えたのも何か縁があるっていうことだよ~。お見合いはただの出会いのきっかけでしょ。実際付き合ってみないと、本当の男女は理解できないからさぁ~」 「何が言いたいんですか?」 「少しだけこの辺りを散策して、ホテルに戻ろっかと思っているんだけど~。案内してくれるー? よね~?」  だいぶ酔いが回ってきているのか、問いに対して答えがちぐはぐになってきている。大通り沿いなら人通りもあるし、少しだけ散歩すれば気が済んで、酔いも醒めたところで別れてしまえばいいかもしれない。  店員を呼んで、会計の準備をお願いした。 「綾芽ちゃん、大丈夫、大丈夫。ここは僕に任せておいて~」 「で、でも……」 「いいから、いいから~」  会計を済ませ店を出ると、神矢は千鳥足で一緒にエレベーターへ向かって歩き出す。 「あれ~、少し酔ったかなぁ~」    神矢は足元をふらつかせ、赤ら顔でトロンと虚ろな目つきをして綾芽に近付いてきた。 「ごめ~ん。少し、肩貸してくれる?」
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