13.求められて*

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 透也は綾芽の口を自らの唇で塞ぎ、なおも指先で先端を弄り続ける。頭の中は真っ白になり、身体の奥がうねるような感覚が止まらない。綾芽は身をよじるようにくねらせると、何度も襲われそうになる甘美な悦びを逃そうと必死だった。 「我慢するな。力を抜いて反応するまま素直に従え。ほら、綾芽の身体はもっと欲しいと言ってる」  キスで溶かされたまま胸をひたすら責められ、とても身体を支えていられない。背後に座る透也に寄りかかると、もう一方の手が下腹部へと伸びる。透也は綾芽を抱えたまま、指先をショーツのクロッチ部分へ伸ばし、まるで芸術品を愛でるかのように撫で上げた。 「んんっ。待って……今、そこを触られると……。はぁ~ぁぁ……」  柔らかく甘やかな刺激が幾度も加えられ、火が付いたように全身が火照り出す。絶え間なく与えられた陶酔で全身の力は抜け、透也にしなだれかかる。その手が綾芽のショーツを下ろしていった。  一度知ってしまった快楽の味は、忘れたくても忘れられない。  さっきまであった不安が次第に弱まり、綾芽は快楽の渦に飲み込まれたまま、透也の首にしがみく。  私の中で透也さんを感じる……。  こうして透也と重なっていると、彼の身体も心も一体になれたような気がして、幸せを感じた。悦びは身体の隅々まで広がり、甘いため息と共に溶けて、いつまでも消えない。
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