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それから結局、透也は普段とあまり変わらないような時間帯に帰宅する。時計は、夜の十時を過ぎていた。
「おかえりなさい」
綾芽はリビングのソファーから立ち上がり透也を迎えると、いきなり抱きしめられた。アルコールと普段とは違う香水のような匂いがして、かなり酔っていることが分かる。
「どうしたのですか?」
透也は無言のまま、強い力で思いきり抱き締めるから、腕や背中に痛みを感じる。いつもとは違う様子に、ただ戸惑っていた。
「透也さ……」
いきなり口を塞がれるように唇を奪われ、声を上げようとしても、逃してはくれない。
「……何が……あっ……ふ……」
いつもより乱暴に綾芽の唇を漁り、まるで焦っている様子で服を脱がし始めた。戸惑う綾芽を下着姿にさせソファーに寝かせると、透也が勢いよく跨った。何度も啄むようなキスをして、唇が離れる。
「……と、透也さん、いきなりどうしたんですか?」
「早く子どもを作ろう。そうすれば、堂々と結婚ができる。綾芽が嫌だと言っても、俺は認めない」
「で、でも、子どもって……」
透也は先日の会長との約束を果たそうとしてる。だからと言って、こんなに乱暴に迫るなんて……。
戸惑っているうちに再びソファーに押し倒されると、透也はスイッチが入ったように綾芽を求めてくる。首筋に舌を這わせ、耳元へ向かうと、耳朶を甘噛みした。くすっぐったいようなゾクゾクとした感覚が背中を走る。
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