私は意気地なし

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僕は、君と守れない約束をした。 ヒマワリみたいな笑顔だなと思った。 子供のころ、入退院ばかり繰り返して、もう病院の方が家みたいな そんな変な感覚にすら陥ってしまってたころ、 突然、病室のドアが開いた。 「涼くん、新しい患者さんだよ」 すっかり馴染みの看護師さんに連れてこられた女の子。 「桂木ひなです。よろしくね」 真っ白い壁ばかりのつまらない病院の部屋で 君が笑ったとき、思ったんだ。 これは、僕のかっこ悪くて情けない初恋のお話。 「明日が来なければいいって願ってるの、毎日」 「朝が来るのが怖い。夜がずっと続いて目覚めなければいい」 「だから、毎晩寝られないんだ。寝るのが怖いんだもの」 天国屋、地上店。 澄んだ夜空の下に、見たことない喫茶店が現れる そして、僕は待っていた。 会いたくて仕方なかった君に最後に会えるのを 「涼くん、私ね、すごく涼くんに会いたかった」 僕は、もう一度君と約束をする。 今度こそ、君を絶対に助けるために
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