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「大丈夫だよ、意外と楽しいし」
これは真実だ。自分を嘘で塗りたくって明るく振る舞うのは、それでも楽しい。
虚偽の自分を作ってこそ、本当の僕が分かるのだから。
「ほんと?ならいいんだけど…」
と、俯きがちで心配そうにこちらへ目を向ける珪に微笑む。
それより今日の晩御飯どうする?と話を逸らして、お肉コールを始める珪を横目に冷蔵庫を覗く。2年になってから自炊を始めたんだ。
「…お肉、焼く?」
「焼こう!それ豚?」
いや鳥、と答えながら、2人で晩御飯の支度をした。
ちなみに鶏肉は焦げた。
珪のは炭だった。
「珪…どうやったらそうなるの?」
「玲はいつの間にそんな男前になったの!?」
珪曰く、僕は演技をやめると男前らしい。
なんか嬉しいね。
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