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「はいはーい!2人ともそこまでね!まことんが怖がっちゃうでしょー!」
2人の間に入ったのは、庶務の珪様だった。
後ろでは、飛び抜けて背の高い相川様がこちらを見守っていた。
多分怖がってはない。
「あ、珪ちゃん...おかえり、どうだった?」
「もー大変だよ!まことん大きいからすぐ見つかるの!高いとこ苦手らしいから木に登ったりも出来ないし!」
その身長で???
「まことん...生きづらそうだね...」
「無闇矢鱈に人に同情しない。真琴も早くこっちへ。」
気を取り直したのか、普段通りに落ち着いた2人に心底ホッとする。好奇心はニャンコもコロコロするとはこの事か。
ゆったりと副会長様達の方へ進む書記様を横目に、舞台袖の階段へ目を向ける。残り2ペアはまだだろうか。
話によると、風紀委員長様と玲様は強姦を取り締まったそうだ。
全く想像のできないペアだが、どんな空気だったんだろうか。
「あー、玲ちゃんと風紀委員長、大丈夫かなぁ...」
「?何かあったのですか。」
不思議そうに首を傾げる副会長様に、珪様が大袈裟に体を使って驚く。
「えー!かなめん知らないの!?玲達、強姦現場を取り締まったんだよ!警備班のトークルームに送られてたよ?」
目を逸らして口籠る副会長様の肩に手を置いて、会計様が呆れたように笑う。
「かなめんったら、その端末の行方が分かんないんだってぇ。盗難の可能性もあるから要会議だよぉ?」
「ぐっ...、分かってますよ。その節は本当に申し訳ないと思ってます...」
「かなめん謝れたんだ?」と会計様が副会長様を揶揄っている間に、階段を登る足音が耳に届く。規則的な足音が2人分、振動として響いた。
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