特別な__

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 日も沈みかけの頃、窓ガラスを照らすキャンドルの灯りを見つめていると、背後でドアが開き、ロベルトが入ってきた。  「ステファン、一緒に下へ来てくれ。見せたいものがあるんだ。」  首を傾げながら階下へ行く。階段にも、ドアが開いた別室にも、至る所にキャンドルが置かれ、同じく石鹸の香りがふわりと漂っていた。  居間に繋がる扉を引き開けると、キラキラと輝く装飾が施された壁や家具が見え、呆然と立ち尽くす。  その部屋の中央……様々な箱や袋が山積みになっている。そっと近づいてみて、初めて誰宛の物か分かった。  「ステファン、ラドジーニ様、宛……」  区切って声に出して読む。全ての箱に、袋に、同じものが書いてある。まさか、この山積みになった荷物、自分宛の物しか無いのか?  焦ってロベルトを見ると、微笑んで頷いてくれた。  「待ってくれ、こんなに貰う覚えも無いし、買い物をした覚えもない。しかも誰からだ? 俺は、ただの旅人だぞ?」  ロベルトがクスッと笑う。  「それが、この国の伝統なんだよ。」  この国……ヴィトリン国の伝統が何だと言うのだ。貢ぎを伝統としているのなら、それは破産の道を辿る。  そう言うと、ロベルトが声をあげて笑った。  「違う違う! さすがにそんな伝統は反対騒動が起きるよ。そうじゃないんだ。」  ロベルトが、そっとキャンドルを1つ持ち上げる。  「生誕の日にまつわる、本当に大切な伝統なんだよ。」  そう言ったロベルトと、傍にあった椅子に座る。  しばらくキャンドルを見つめていたロベルトは、やがて飲み物を口にしながら、穏やかな笑顔で話し始めてくれた。
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