特別な__

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 このキャンドルは、生誕の日を迎える人が好きな香りで作るんだ。  だから、花が好きなら花の香り、食べ物の香りが好きなら食べ物の香り、無香がいいなら無香……様々な香りに包まれることになる。  キャンドルから立ち昇る煙は、色々な物事の成功をっていう願いがあって、だから家中に置くんだよ。  そして、このキャンドルにはもう1つ大事な役割があって……それが、国の人達に生誕の日を迎える人がいる、と知らせることだ。  このキャンドルを付けておくだけで、国の人から「誰が祝われるのか」を聞かれる。  そして……その祝われる人に、知り合い他人問わず、贈り物をするんだ。  それは道端の花でもいい。何か高級な物でもいい。ずっと使っていたお守りでもいい。とにかく、相手が喜ぶかも、と思ったものなら何でもいいんだ。  つまり……そう、気づいたか? この贈り物の数はそれを意味しているんだ。ステファンが生誕の日を迎える人だと知って、みんなが祝ってくれてるのさ。  「……ファンシュレッタ家、つまり俺の家は、キャンドルを販売する店をやっている。だから、ちょうどいいってことで、俺の家に来るって話になったんだよ。」  そっとキャンドルを見ると、健康、安全……と、様々な文字が掘られている。これがさっき言っていた、願いなのだろう。  つまり、旅人の自分のことを、生誕の日を迎える人だという理由だけで泊めてくれて、大切なキャンドルを使ってくれたことになる。  「俺……その……」  何を言えばいいのか分からない。言い淀んだ時、ロベルトがそっとキャンドルを持たせてくれた。
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