祝いの灯

特別な＿＿

　海に囲まれた島国・ヴィトリン国。

　穀物から海の幸まで、幅広いものが手に入り、他国との貿易も盛んなこの国は、戦争に巻き込まれることも無く、平和な暮らしを約束される国。

　時に川が氾濫しても、それはまた再スタートを告げる神の言葉だと前向きに捉え、人々は皆、笑顔で過ごし、子孫にその考えを受け継いできた……あまりにものどかな国だった。

　そんな国に、ついに来ることが出来た。

　長い旅だった。嵐に巻き込まれることもあれば、別の場所に辿り着きそうになった時もあった。

　（本当に人が笑顔の国だな……。）

　行き交う人々の距離が近い。これは、当たりかもしれない。

　（まずは、宿の確保と買い物と行きますか。）

　そう決めるや、すぐに歩き出す。地図の通りなら、宿提供をしてくれる建物があるはずだ。