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再会
遥花さんに久しぶりに会ったのは、急に春めいてきて暖かくなった頃だった。大学時代以来だから、もう四年になるのか。
久しぶりに会いませんかと僕が誘って、仕方ないねと遥花さんが笑って、日曜の午後に風通しのよいカジュアルフレンチの店を予約したのだ。
駅から店に向かう道すがら、きらきらとひかる用水路の水と息を吹き返したばかりの雑草の緑に惹かれた。ここのところちくちくと痛かったこころが温もって、春の風がここちよくて。
ヨーロッパのお家みたいなレンガ造りの店の前に、遥花さんが立っていた。
ネイビーのゆったりしたワンピース、後ろにゆるく結った髪。四年の月日を感じさせず、あの頃の印象のまま、困ったような笑顔も、あの頃のまま。
とりわけて美人というわけではない。大学時代のサークルでも、マドンナ的な女の子は別にいた。みんなにちやほやされて、軽口も上手で、いつも中心にいるような子は。
だけど遥花さんはそういうんじゃなくて、ときどき傍にいて欲しいタイプの女の子だった。一緒にいると安心するというか。一緒にいると落ち着くというか。
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