貴女が苦手です。

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時計をチラッと見る。 時間はもう学校へ向かわないと行けない時間。 なのに、私の準備は不十分っ! 慌てて鞄を握り締め、バタバタと慌ただしく足りない物を鞄へと突っ込んでいく。 「お母さん先に行ってるわよ~っ!」 「はいはーいっ!」 玄関の扉がガチャっと開く音が少し遠くから聞こえ、直ぐにバタンと閉まる音へと変わった。 それから数秒後、私は玄関に辿り着くとこれまた慌ただしく靴を履きドアノブへと手を伸ばした。 ふと、玄関にある全身鏡へ目が行く。 映るは少しボサッとした自分の姿。 チェックのスカートを軽く払い、ブレザーの袖を伸ばし、少し曲がっているリボンを綺麗に正し、掛けている眼鏡を再度掛け直す。 そして一旦呼吸を整えると 「うん、良い感じ。」 鏡の向こうにいる自分に笑顔で伝えれば、鞄を握り玄関を飛び出した。 「早くしなさーいっ!」 「はーーーいっ!」 (だったら、この庭どうにかしてよねっ!) 我が家は豪邸だ。 豪邸が故に、いろんな所の面積が無駄に広い。 一般的に、玄関を出たら直ぐ外が当たり前だろうが、私の家は違う。 玄関を出ても無駄に広い庭が邪魔をして、早々に外へ出れない。 門の前で大きく手を振って急かすお母さん目指し、ほぼダッシュで足を動かしていく。 先程、鏡の前で整えた意味は一瞬で無となった。 おまけに眼鏡は曇る。 急いで足を進める事数秒。 目的地が目と鼻の先となった安心感3割、眼鏡が曇って良く前が見えない7割により、私は何かしらに躓き体が大きく前に倒れた──… がっ! 体は硬い地面ではなく、柔らかい存在にぶつかり動きを止めた。 そして同時に、フローラルなとても良い香りが私を包み込んだ。 「未来、大丈夫?」 鈴が鳴る様な清んだ綺麗な声に、私は顔を上げる。 .
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