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そんな事から私と麻美は事あるごとに、と言うより多くの時間を共にする羽目となった。
「さぁさぁ、あんた達早く学校へ行きなさい。」
「気をつけね。」
「行ってきます。さぁ、行こう未来。」
「うっうん。行ってきます。」
母親達に笑顔で見送られ、私達は二人仲良く腕を組んで歩き出した。
背後からは
『いつまで経っても仲良しよねぇ~。
まるで私達みたい~。』
『本当ね。』
と、喜びの言葉が聞こえてくる。
それに対し、私は心の中で溜め息をついた。
別に麻美の事が嫌いなわけではない。
ただ、こうやって隣を歩くのが嫌なだけ。
麻美は滅茶苦茶美人だ。
腰まである光沢のある黒い髪。
長いまつ毛で覆われた大きく綺麗な瞳。
筋の通った高い鼻に絹の様に白い肌。
長身で足が長く、バランスの取れたモデルばりの体型。
動き一つ一つが、まるでポーズを決めているかの様に優雅で、誰もを魅了する。
それだけじゃない。
麻美はβ家系だと言うのに、αよりも頭が良く色んな分野で優秀な成績を収めている。
一言で言うと、才色兼備。
βなのにαの様な、とてつもなく凄い存在なのだ。
それに対し私はと言うと、αなのに成績は悪くは無いが麻美程でもないし、容姿だって麻美と違ってチビで鼻は低い眼鏡女。
鼻が低いせいで、眼鏡はしょっちゅう落ちてくる。
1度コンタクトを試みたが、着け方を失敗して痛い思いをして以来、怖くて着ける事ができない。
麻美みたいに綺麗な声でもないし、運動神経だって普通。
どちらかと言えば私の方がβのようだ。
麻美と日々生活を共にする事で、自分の自尊心はどんどん削られていった……。
でも、それはしょうがない事だ。
気にしたってどうにも出来ないのが事実。
それだけだったら、私は麻美の事を苦手になる事はなかったと思う。
1番の問題は………。
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