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海に浮かんでいると不意に波が高くなって波が押し寄せた方に首を傾ける
と、ずっと待ちわびていた船が向かってきているのが見えて、浅く海の中にも
ぐって近づいて行った。船の光が届かない場所に顔を出して、あの人を探し
た。
長い時間待っていたら、不意に船の上が騒がしくなった。女の声、男の声、
何人もの叫び声が聞こえる。サンゴのような色のうねるものが広がっていく。
それは太陽のように眩しい。もしかしたら火というものかもしれない。とても
温度が高くて触れると死んでしまうと聞いたことがある。あっというまに船全
体が火に包まれ、何人かが海の中へと飛び込むのが見えた。今日は姿を見てい
ないけれどもしかしたらあの中にいるかもしれない。それなのにあたしは離れ
た場所から見ていることしかできなかった。
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