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学校が終わり家に帰る。鍵を開け中に入ると母が来たので抱擁をした。
「アシュリー、待っていたの。今日、おぞましいことがあって」
「ママ、落ち着いて。コーヒーでも飲みながら話しましょう」
青い顔をしたジュシアの背に手を添えてアシュリーはリビングに促した。茶色いソファに座るとジュシアは縋るような目でアシュリーを見た。
「ママはソファに座って待っていて。今コーヒーを淹れるから」
「ミルクと砂糖をたっぷりでお願い。カフェインでこれ以上、神経を過敏にしたくないの」
「それならハーブティーにする?」
「いいえ。コーヒーが飲みたい。アシュリーの淹れるコーヒーは最高よ」
アシュリーは三種類の豆をブレンドしたものをコーヒーメーカーにかけた。キッチンに香ばしい匂いが漂う。
出来上がったコーヒーを二つ持ってリビングへ行った。ジュシアはお礼を言ってアシュリーを隣に座らせた。
「こういう話は精神科にするべきかもしれないのだけど、幽霊を見たの」
「え? それは確かなの?」
「最初はバスタブに黒い髪があったの。不思議だったんだけどランチを食べて二階の書斎で本を探していたの。そしたら黒髪で四十代くらいの色の白い女性が窓の外にいたの。二階のバルコニーもない窓の外によ。私は怖くて腰が抜けたわ。目を瞑って三十分くらい耐えていたの。そして落ち着いてから窓を見ずに勇気をだして一階に降りて来たってわけ」
ジュシアは身震いして自分の身体を抱きしめた。幽霊なんて信じていないのにどうしちゃったのだろう。
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