36人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
次の日、ジュシアは庭に咲くポピーに水をあげていた。今日も清々しく晴れている。昨日起こったことが夢のようだ。鼻歌を歌いながらポピーに水をあげ終えて庭から家のリビングを見た。レースのカーテンがゆらりと揺れて肩甲骨まである黒髪の女性がこっちを見ていた。白いワイシャツに黒いタイトスカート。ジュシアは隣に住む老齢のスミス夫妻の門のところまで行って思いとどまった。きっと気のせいだろう。幽霊を見ただなんてスミス夫妻に言ったら怪訝な顔をされるに違いない。
家に入るのが怖かったが意を決して中に入った。パチッ。パチッとラップ音がする。ジュシアは耳をふさいで二階に行った。ジーンズとトレーナーを脱いでワンピースを着る。それからベッドに横になった。アシュリーの言う通り疲れているのかもしれない。少し寝れば大丈夫だ。
ジュシアはウィリアムとスクールバスに乗っていた。二人掛けの席でジュシアが窓側、ウィリアムが通路側だ。ジュシアは母が幽霊を見たことを話した。
「俺は幽霊を信じるよ。でもなんでジュシアの家に出たんだろう」
「そうね。母は人に恨みを買うような人じゃないわ」
困っている人がいたら率先して助けるし、ボランティアにも参加している。なぜ母のところに出たのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!