Graduation ceremony

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「なにかあったら電話してくれよ。幽霊じゃ911も対応してくれないだろう」 「ええ、ありがとう。ウィリアム」  ジュシアはベッドに入ったがなかなか眠れなかった。精神安定剤を飲むことも考えたが、本格的に眠ってしまうのは困る。ディナーの準備も必要だし洗った布団カバーやシーツも取り替えなければいけない。  ベッドで震えていると玄関のほうから物音がした。時計を見ると五時。アシュリーが帰ってきたのに違いない。ジュシアは起き上がる。 「アシュリー?アシュリーなの?」  返事がない。聞こえなかったのだろうか。寝室からでる。ミシッ、ミシッ。誰かが階段を上ってくる音がする。 「アシュリー?アシュリーでしょ?」  ジュシアは階段のほうに呼びかけた。ミシッ、ミシッ。段々と音が近づいてくる。怖さで固まっていると黒髪の女性の顔が見えた。ジュシアは失神しそうになった。そのとき本当にアシュリーが帰って来た。玄関から元気のいい声が聞こえる。 「ママ、帰ってきたわ」 「アシュリー、助けて。私は二階よ」  アシュリーはただならぬ事態を感じて急いで二階に上る。母は真っ青な顔をして廊下に座りこんでいた。 「ママ、どうしたの? 大丈夫?」 「また幽霊を見たの。昨日と同じ人。精神科が必要かしら?」 「幻覚を見る人は大抵、虫とか蝶を見るものよ。でも軽い精神安定剤は必要かもね。手が震えている」  アシュリーは母を抱きしめた。こんな母を見るのは初めてだ。よっぽど怖かったのだろう。父にも相談して解決方法を考えなければいけない。
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