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階段を下りて一階へ行く。アシュリーはハーブティーを二つ淹れた。一つをソファに座っている母の前に置く。一つは斜め前の自分が座る予定の場所に置いた。
「クッキーがあったわよね。ママ、どこに置いたの?」
「上の棚の丸い缶の中よ」
キッチン用の脚立に上ってアシュリーは丸いブルーの缶を取った。それを持ってソファに座る。
「ママ、リラックスして甘いものでも食べたら? 夕飯は今日もデリバリーいいんだから」
「二日もピザじゃ飽きるでしょ。ステーキだったら材料があるわ。デビットが帰ってくるまでに作れるわよ」
ジュシアはハーブティーを一口飲んだ。これはカモミールティーだ。アシュリーは優しい口調で言った。
「今日、学校帰りのスクールバスでウィリアムと幽霊の話をしたの。ウィリアムもママが幽霊を見たのは本当じゃないかって。ママ、こういうときは霊媒師にお願いしたほうがいいのかしら?」
「霊媒師を呼んだなんて近所の人に知れたら奇異に思われるわ」
「そう。じゃあどうしましょう」
二人は俯いて考え込んだ。
七時になってデビッドが帰ってきた。ジュシアはちょうどポテトを揚げていた。人参とブロッコリーも調理してある。
「デビッド、今日はステーキよ」
「おお、君がベジタリアンじゃなくてよかったよ」
ポテトフライをキッチンペーパーの上に乗せてジュシアはデビッドに訊いた。
「肉を焼き始めていいかしら?」
「シャワーを浴びてから食べるよ。食べるのが待ちきれないかい?」
「あなた、私を動物園の猿だと思っているの?」
デビッドは笑ってバスルームへ行った。アシュリーは二人の会話を聞いて母がそんなに参ってないことにほっとした。
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