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拓とまったり
拓とお付き合いして半年。
あたしの本社勤務も、半年過ぎた。
遠恋ではないけど、ふたりとも忙しくて、すれ違いが増えてる。
それでも。
拓のマンションがあたしの家から近くてよかった。
へとへとだとしても、すぐに拓に会いに行ける距離なのは、すごく助かってる。
朝は、出張とか早出でなければ拓が家に寄ってくれて、一緒に電車に乗る。
晴れた日、仕事サボってどっか行きてぇな、って言う拓に、ほんとね、海行きたいな、って答えたら、その週末は海デート。
と言いたいところだけど、ふたりともクタクタに疲れてて、拓の部屋でごろごろしてた。
「あやー」
「んー?」
ソファに寝転んでる拓と、すぐそばで雑誌をめくってるあたし。
「あや、いーの?」
「なにが?」
手を止めて振り向く。
「どっか行きたいとか、したいことあんのに、俺に合わせて我慢してるとか…ない?」
拓、疲れてるのに、気を使ってくれてる。
「拓こそ、ほんとは寝てたいのに、あたしがいるから寝れないとか、ない?」
「あやがいなかったら、寝てる。あやは?」
「んー、たぶん、お母さんと買い物して、お茶して、かな」
「え、なら俺、お母さんに悪いことしてんじゃん」
「そんなことないよ、拓〜、気ぃ使いすぎ」
起き上がった拓の隣に座って
「無理しないで、のんびりいこ、拓」
「のんびりなぁ…んーっ」
右手をぐーっと、上に伸ばす。
「そうよ、拓、寝たかったら寝ていいから」
「じゃ、おことばに甘えて…」
ゴロンと横になって、膝枕。
拓、うれしそう。
あたしはちょっと、照れくさい。
「んー、いいな、気持ちい」
「そう?よかった」
「幸せって、こういうのなんだな、あや、癒されるよ、さんきゅ」
…と、間もなく寝息。
寝ててもかっこいい拓に、ドキドキしちゃう。
あたしの方こそ、拓にいっぱい癒されて、守られて…愛されてるのを実感してる。
「あたしも幸せ、ありがと拓」
拓の重みとあったかさで、あたしもウトウトしてた。
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