大好きな…思い出のカフェで

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大好きな…思い出のカフェで

残りの時間は、好きだった松濤へ足を伸ばす。 あー、この辺は変わってない、閑静で落ち着く。品のある感じも好き。 渋谷のシメは、彼とたまに来てたカフェへ。仕事にかこつけて、思い出ツアーでもないんだけどね。ここ、お気に入りだったから。 木の重たいドアを開けて、いつも座ってた窓際の席。 窓のアクセントになってるステンドグラスの光が手元を薄暗く照らして、いい感じの懐古感。 好きだったアップルパイとコーヒーをお願いしてぼーっと店内を眺めてると、懐かしい匂いとともに蘇る思い出に浸りたくなる。 …少しだけ、浸っちゃおうか。 あ、でも…日帰り出張もうおしまい。 アパート戻るのは夜遅いし、晩ご飯駅弁かな…実家でゆっくり寝たかったな、なんて現実を考えながら、コーヒーを飲んでひと息つく。 大好きなアップルパイはドッシリしてて程よい甘さ。リンゴのいい香りを味わう。 …と、ドアの開く音と数人の男性の声。ここでもし彼が来たらドラマよね、なんて思いながらそっと後ろを振り向く。 「…あや?」 「…っ」
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