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別に困りはしなかった。 日々の生活のどこかで苦痛を感じるかと言われれば、そうでもなくて。 ただ綺麗な景色を見て「きれい」と声に出せないくらいが億劫。 笑いたいときにクスクス声が出せれないことが少し気持ち悪いくらい。 声が出ないということは、どこかで誰かが「お前は喋っちゃいけないんだよ。いつもそれで周りを困らせてきただろう?」と、 自分のすぐ後ろでずっと問いかけてくるような感覚だった。 しゃべらなくて済むならその方がいいと自分でも思ったし、これで余計なことを言わなくて済むね自分ってホッとする部分もある。 そう、 声が出ないことは、私の人生の中ではそこまで問題があることではありませんでした。 ───君に、出会うまでは。
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