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真悟と出会ったのは2年前、高校に入学して直ぐの頃だった。
そのルックスもあって1年の頃から良くも悪くも目立っていた男は、否が応でもいつも視界の中にいた。
高い身長に彫りの深い顔立ち、俺には無いモノばかりを持っているその男に嫉妬とは違う何かを感じているのだと気づいたのと同じ頃、その視線が俺へと向けられている事に気づいた。
見られている。
その視線が何なのか、訊きたくて訊けなくて…でも不快感は無かった。
寧ろ悦んでいる…そんな自分に気づいて初めて理解した。
俺、アイツの事が好きなんだ…
そんな自分に驚いた。
今までそんな風に同性を見た事が無かったから。
アイツが、真悟が特別なんだろうか?
それとも俺が変わってしまったんだろうか?
もし俺が変わったのなら、俺を変えた真悟はやっぱり特別なんだろうか?
こんな事、誰にも訊けないし誰にも相談できない。
中学からの親友の匠にも話せない秘密を抱えたまま、今まで通りの生活を俺は選んだ。
そうすれば少なくとも高校を卒業するまではアイツと、真悟と同じ世界に居られるから…
周りの誰にも気づかれず真悟と同じ世界に居る為に、俺は彼女を作ろうとした。
幸運な事にこんな俺なんかにも「好き」と言ってくれる女の子は居てくれた。
けれど、
1ヶ月2ヶ月と彼女と過ごす時間が長くなるほどに、自分の気持ちが分からなくなっていった。
俺は何故ここに居るんだ?俺が一緒に居たい人はこの人なのか?
俺が名前を呼んで欲しいのは、俺が触れて欲しい人はこの人じゃない……真悟だ
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