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高校生編
真悟side
ずっと好きだった。
でも好きになってはいけない人だと分かっていたから、この想いはずっと胸に秘めたまま生きていくつもりだった。
でも…
「み~な~と~、彼女ができたんだって?」
隣の席の匠が負ぶさるようにして皆人に凭れかかると、あからさまにニヤニヤ笑いながら尋ねた。
「ん~、まぁな」
照れ隠しで鼻の頭を掻く皆人を、斜め後ろの席からそっと盗み見る。
小さく、本当に微かに息を吐くとゆっくりと自分の席から立ち上がった。
「よう、真悟。お前はフラれたって?」
「まぁな」
「どうせまた浮気してバレたんだろ?」
「まぁな」
「うっわ!男の敵、女の敵、全人類の敵めっ!!一回マジで刺されろ~」
「ハイハイ」
皆人に凭れたままの匠の頭をグシャグシャと掻き回しながら、通り過ぎざまにチラリと見た皆人は俺を一顧だにする事なく、ただ前を見ていた。
「じゃあな」
匠の頭から手を離すと、そのまま振り返る事なく教室を出た。
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