心に光を

（１）

自宅じゃない方へ歩いて行くと交差点がある。

信号待ちをするウチの視線の先に、車椅子に乗っている人が居るのが分かったけど、別に気にかける事なく、信号が緑に変わったから、足を前に進めた。

同じ様に向こう側から、車椅子に乗った人が、ハンドリムを回しながら、こちらへと向かって来る。

すれ違う瞬間に、突然車椅子がこちら側へと倒れてきた。

一瞬、何が起きたのか、分からない。

ただ、現在、交差点の中央で車椅子と乗っていた人の下敷になったウチは、地面に倒れたと気づくのに、数秒かかった。

車椅子に乗っている人が『泥棒ー！』と叫んだ声が聞こえたけど、誰も彼もが知らん顔。