心に光を

（１）

「なんかごめん」

謝ってくれてた人の声が切なく感じる。

「すいません。誰か手伝ってくれませんか？」

早く車椅子を起こさないと、信号が赤に変わる。

なのに、携帯電話をこちらに向けている人が居る事にムカついた。

「ふざけんな！」

信号が変わり、クラクションが鳴り響く。

プップー！

プププッー！

『大丈夫ですか？』と声をかけてくれた人が、車椅子に乗っていた人を抱き上げてくれ、他の人が車椅子を起こしてくれた事で、立ち上がる事が出来た。

車椅子に乗っていた人を車椅子に乗せてくれたから、『ありがとうございました』と礼を言ってから車椅子を押し、交差点を渡りきる。

『大丈夫？』と聞くと『大丈夫じゃないかも』と呟く様に答えた人は俯いたまま。

気にせず、近くに公園がある事を思い出し、車椅子を押して交差点を後にした。